ダイレクトレスポンスマーケティングの大家であるダン・S・ケネディの代表的著書。

士業・コンサルタントを含む小さな会社にとって

ダン・S・ケネディが教える 「小さな会社のための  マーケティング入門」

集客、見込み客の獲得は大きな課題である。

既存客の維持、囲い込みも必要だが、
常に新しい顧客を獲得していかないと、
ビジネスがどんどん縮小していってしまう。

かと言って、集客にかけられるリソース(時間、人)は多くない。

では、どうするか?

「自動的に集客するシステムを作る」がダンのお勧め。

お勧めというより、そうしないと成長できない。

本書では、そのシステムがいかに重要か、
いかに構築するか、について
その考え方と様々な業種についての成功事例で示されている。
(どれも、ダンがコンサルティングした事例だが)


全体が3パートに分かれている。

  • Part1:並外れた成功のための基盤作り
  • Part2:ダイレクトマーケティングの活用
  • Part3:情報リソース

Part1は、3Mの基本としてシステム構築の為の10のルールが説明されている。
わずか50ページほどだが、中身の詰まった、判り易い説明になっている。

Part2は、ダン自身がコンサルティングして成功したビジネスについて
事業家自身が書き下ろした事例集。
小売、税理士、飲食店、営業、サービス業など15の事例。

尚、Part3の情報リソースでは、有益なWebページのURLが掲載されているが、
当然ながら(?)すべて英語サイトである。


●Part1:並外れた成功のための基盤作り

なぜ、「システム」が必要なのか、
そして「システム」を構築する際のルールについて書かれている。

なぜ必要か? は”自明”。

士業や小さな会社で集客に手間と時間を掛けていたら、
体がいくつあっても足りない。

ブランディング戦略なんてとっている余裕は無い、
すべてが直接の利益に結びつく必要がある、
と言っている。

すべての行動が、集客・販売に繋がるような流れ=システムを作る必要がある。

「システム」構築の為の10のルールのうちで、
特に以下の三つには納得。

〇追跡と測定を行う
何か広告など行動をしたら、それがどの程度の効果があったかは、
必ず追跡して測定しなければいけない。
当たり前といえる。
結構、”(何となく)効果が有ったかも”、”反応有ったね”で
終わらせているケースは多いのでは?
ちゃんと、「事実に基づいた数字」を把握した上で判断すべきだろう。

〇ブランディングは副産物だと考える
ブランド構築は、資金力のある大企業がやること。
小さな会社はそんなことやっている余裕は無い。
すべての行動が、集客→売上げ・利益 に繋がらなければならない。

〇フォローアップを行う
何事も「単発」で終わらせてはならない。
展示会であれセミナーであれ、最初のコンタクトや
次のコンタクトで終わらせるのではなく、
継続しなければならない。
その見込み客が、自分の商品を真に必要・購入したいと思う時期まで。
いわゆる、AIDMAの”Memory”をリマインドする、
リードナーチャリングと言うことだろうか。

このパートの最後の言葉が、ダンが一番言いたい事、凝縮されている。

“「誰」が一番自分の提供する商品やサービスを必要としているか、
熱心に求めているか、受け入れてくれるか、直ぐに無理なく連絡がつくか、
楽しんで商売ができる相手か” を考えなければいけない

 

●Part2:ダイレクトマーケティングの活用

3/4のページを使っての、事例集。
ダンが実際にコンサルティングして成功した事業主が書いている。

いろいろな業種の例が書かれているが、
特に印象に残った言葉、文章はこれ↓。

〇”でも〇〇〇は違う”と言うばかげた話
大抵の人(事業)では、「自分の事業が”特別なもの”だから、その手法は合わない」と
言っているが、そんなことは無い、すべてのビジネス・すべての業務は同じものだ。

これは全く納得してしまう言葉。

「うちの製品は、20年以上作らなければならないから」
「うちは多品種少量だから」

と言う言葉、何度も聞きました。

でも、そんな製品、会社はいくらでも有ります。
逆に、皆特殊・特別だから売れている・存在価値があるのです。

その中で、いかに各種手法やツールを自分のビジネスに適用するかの
知恵を絞るのでしょうし、
ビジネスの基本は同じでしょう。

何もやらない、出来ない言い訳にしか聞こえなかったのを覚えている。

「うちは、顧客が決まっているから」

というのも、新たに探す努力を怠っている言い訳にしか聞こえない。

〇”販売はプロセスである”
良く”営業は泥臭い”といわれる。 確かにその面はあるかもしれない。
“とにかく、足しげく通う”と言うのも、有効な方法ではあるだろう。

だが、だからと言って、営業を仕組み化しないといつまでも大変なまま。
リソースの少ない小さな会社は回らなくなってしまう。
あるいは、潜在的な見込み客を取り逃がしてしまう。

見込み客を見つけ出して管理するシステム=仕組みを作る事が、
小さなビジネスを維持して伸ばしていく唯一の方法だと言っている。

Part2では、幅広い業種についての事例が書かれているので、
自分の業種だけでなく、一通り目を通すと、
自分に適用できる何かが得られるのでは無いだろうか?


お金を掛けずにお客を集める秘密の手法
ダン・S・ケネディが教える
小さな会社のための
マーケティング入門

ダン・S・ケネディ
ダイレクト出版
¥3,800
ISBN978-4-904884-47-8