「実践図解 MOTマーケティング入門」の書評の第3回です。

今回は、第一部基礎編の中で述べられている、

実践図解 MOTマーケティング入門

実践図解 MOTマーケティング入門

  • プロセスイノベーションとプロダクトイノベーション

についてです。

この区分けは、製造業としての付加価値をどのように・
どこで生み出すかの違いと言えます。
(内容的には製造業に限定されてはいないのですが)

過去、(特に日本は)“造り方=プロセス”を改善していく事で、製品の付加価値を高めてきました。 量産技術やコストダウン、そして品質向上の追求です。 その結果品質やコストの改善効果は大きく、日本製品の人気に繋がりました。
これが、プロセスイノベーションです。

ところが近年は、“物・製品として何を創るか・生み出すか=プロダクト”に付加価値をつけなければいけなくなってきました。 顧客にとっての価値をより高める製品の開発が求められるわけです。
これをプロダクトイノベーションと読んでいます。

日本は過去、QCなどの品質管理や改善活動で、”ものづくりのプロセス”のイノベーションを行ってくることで、”日本製品=高品質”というブランド力を築き上げました。

ところが、近年は音楽配信やスマートフォンなど、誰も思い描いていなかった新しい事業・製品が生まれています。 “造る技術”ではなく、”創る=創造する技術”が求められるようになって来たといえます。

この、”造る”から”創る”への変化は、大きなパラダイムシフトで、これに上手く対応する為の方法論が、「MOTマーケティング」であると筆者は書いています。

確かに、”MOTマーケティング”と言うのは、製品開発よりも前の研究・開発から戦略としてみて行こうと言うことですから、製品の企画・戦略を重要視していると言う意味で、合っていると言えます。

7d7f9027a770ff966999cd9f91718cf2_sこのパラダイムシフトは、別の表現として、

  • 技術指向 → 顧客指向
  • シーズ指向 → ニーズ・ウォンツ指向

と表現できます。

但し、筆者は、

「プロセス・イノベーションとプロダクト・イノベーションは車の両輪」

であるとしています。
なぜなら、”創造したアイディア”を、具体化して”製品”にする為には
“プロセス”が必要だからです。

いずれにしろ、まず第一に考えるのは”顧客価値”であり、
顧客にとっての価値が常に上がるようにしていかなければなりませんが、
その意識をより強く意識しなければならない、
と言うことでしょう。

(記事内の「」囲みの部分は書籍からの引用部分です)