久しぶりに展示会に行って来ました。
東京ビッグサイトで開催の[セミコン Japan 2016」です。

展示会は、特定の業界や目的を持った企業が一同に集まる場ですので、
コンサルタントとしては、企業マッチングのネタを仕入れるのに最適な場です。
企業の潜在的課題を見出すにも良い場です。

コラム「潜在的課題をあぶり出す」

また、業界の実状を多くの企業の生の声として聞く事が出来るのもメリットです。
白書や各種調査の報告も重要で参考にするべきですが、
直接、複数の営業、技術、時には経営者と話が出来るのもある意味効率的です。
今回の”セミコンJapan”は、
半導体業界の展示会としては国内最大で、歴史も長い展示会です。

SEMICON Japan

SEMICON Japan

半導体業界にいた私にとっては、その昔、出展する側で、
何度も説明員として参加していた、”思い出”の展示会です。
(確か、新卒入社の年にも、参加していました。ん十年前です)

場所も、幕張メッセからいつの間にか、東京ビッグサイトになっていました。

ご存知の様に国内の半導体、及び関連業界は一層の厳しさの中に有ります。

1990年代後半から、台湾や韓国企業に押されて、
大手の電機メーカーの半導体事業が、
どんどん、撤退・統合により縮小していきました。

それに伴い、メーカーを支えていた周辺の製造装置産業も
苦しい状況に追い込まれてきています。


そんな中、私は今回は、
その産業を支えてきた、中小企業の要素技術に注目して、
他の業界、企業とマッチング出来ないか?
という視点で、会場を回りました。
目に付いたのは、、、

〇高周波交流電源
数十MHzで、10KW以上の交流電源です。 半導体製造時のプラズマ発生に使用されるそうです。
きっちりと周波数・位相を合わせこむ、安定させると言うのがなかなか難しいとの事。
競合は有りながらも、独自の技術で装置メーカーに採用されているそうです。

〇放熱・熱交換器
半導体製造は化学反応ですから、エアーや多くの薬液が高温になります。
その放熱や、過熱の為により効率的な熱交換が必要です。
アルミが効率良いそうですが、高温だと使えない!ので、
まず、ステンレスで一次冷却すると言うことも必要になるそうです。
その為に、銅やアルミ、ステンレスでパイプとフィンを結合させる加工技術が必要になります。
その結合の緻密さを保った加工が大変だとのこと。

〇真空用金属蛇腹
真空装置の中で外から可動させたい時、蛇腹が必要になりますが、
高温で真空を保つために金属で作るそうです。
10cm長で1cm程度の可動範囲を持たせるために、
金属のドーナッツ板を溶接してそれを重ねていくそうです。
(金属疲労の為に、どうしても使用回数の限度があるとの事)

その溶接が穴が無く緻密に、でも可動を妨げない、様に
するのは大変だそうです。
こういう特徴ある製品を生みだす、要素技術こそその企業の強みですね。
製品だけではなく、その要素技術でのマッチングが出来るといいなと思います。

〇超音波式微小流量計
超音波の反射を利用した液体流量計です。
難しい微量の流量の計測も可能にしたとのことでした。
大手とは差別化して、微量・小型に特化しているそうです。

〇液体平面塗布装置
半導体ではいろいろな薬液を”塗布”する事が多いのですが、
なるべく均一に塗布する事が求められます。

肝なのは、出す側のノズルはもちろんですが、
塗布される側(少しずつ移動する)のガタ、揺れを
如何に抑えるか、だそうです。
しっかりガタを押さえ込んでいるので、
非常に安定・一定厚さで塗布できるそうです。
その為、移動ステージとしての注文も多いとの事でした。


さて、久しぶりのセミコンでしたが、驚いたのは、
“World of IOT” と同時開催だった事。

また、ロゴにもIOTを思い起こさせる”Connection”の文字も
目立つように書かれていました。

“IOT”、セミコンまで侵食してきたか!

ですね。
※但し、なぜか”IOT”であって、”IoT”ではないのですね。
 ”IoT”に版権があるとは思えないのですが…。
で、中身ですが、、、、、

SEMICONにも IOTの波が・・・

SEMICONにも IOTの波が・・・

確かに”IOT”を謳ったブースも有りましたが、
セミコンのブースでは、余り見かけませんでした。

まあ、半導体工場ではクリーンルームの中の
前工程はもちろんの事、
後工程でも、各種装置はFactory Automation(FA)として、
全体がネットワークで繋がれて、
データ管理されています。

今更、”IoTと言っても…”と言うのが実態でしょう。
工場間のデータ共有も、半導体メーカーは大手ですから、
専用線引いたりして、既に構築してます。

と言う事で、半導体業界で”IoT”と言うのは響かないかなと思います。

それでも、”World of IOT”エリアでは、面白い例が有りました。
中小企業が大学と連携して、
「牛の健康状態を集中モニターする」
と言うアプリケーションです。

牛にあるセンサーを取り付けて、常時体温などを遠隔で
モニターして健康管理をするそうです。

北海道などの牧場では、広い所で多くの牛を放牧していますが、
一頭一頭を見て触って管理すのは大変で、
その労力・人手不足の解消になるそうです。

そのセンサーを造るのに薄膜の成形加工技術が必要で、
半導体向けの製品の技術が活かせたと言うことでした。

因みに、一番牛で管理したいのは、、、”発情期かどうか”だそうです。