前のコラムで、「顧客の欲求」について書きました。
“欲求を満たす”ために”商品を買う“のです。

“欲求を満たす”というのは、個人的な問題の様に聞こえますが、
“問題の解決”とも言えます。

“自宅で、オフィスで水やお茶かコーヒーを飲みたいな”というと
「欲求」と言う言葉が合いますが、
砂漠で喉が渇いている時となると、「欲求」と言うより、
生命の維持に関わる「大問題」と言った方がぴったりです。

つまり、「欲求を満たす」と「問題の解決」は実は同じことを表現しています。

従って、「商品を買う」ことにより、顧客は「問題を解決」し、
「解決できること(出来る期待)」に対して対価を支払っているのです。

砂漠では、
「水を買う(手に入れる)」ことにより、
“生命の危機”という問題を解決し、
“生命を維持する”という「課題を達成/克服」
する訳です。

人間の欲求に関しては”マズローの段階欲求説”と言うのが有ります。
〇マズローの欲求段階説

  1. 生理的欲求
    生命維持のための食こと・睡眠・排泄等の本能的・根源的な欲求。
  2. 安全の欲求
    安全性・経済的安定性・良い健康状態の維持・良い暮らしの水準、事故防止、保障の強固さなど、予測可能で秩序だった状態を得ようとする欲求。
  3. 社会的欲求 / 所属と愛の欲求
    自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるという感覚
  4. 承認(尊重)の欲求
    自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求。
  5. 自己実現の欲求
    自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して自分がなりえるものにならなければならないという欲求。

 (Wikipedia “自己実現理論”より抜粋)

1853aaf44f70531e12ddef0979b344cd_s砂漠の水の例は、1の生理的要求に当てはまります。
この場合、一番重要な生命に関わりますから、
“水”と言う商品の価値は、非常に高いものになります。
とても重要な生命の維持という課題を克服しますから。

従って、水に対する”対価”=価格は高くなります。
私は以前は良く山登りをしましたが、頂上近くの山小屋では
ペットボトルの水が500円とかで売られていました。
私は下界から背負って運ぶことが殆どでしたが…。
(さすがに、キリマンジャロではポーターに運んでもらいましたね)

一方、自宅、オフィスでは生命の危機は通常無いので、
普通は水道水(或いは浄水器の水)を飲みます。
安いですね。 (もちろん日本ならではですが)
水が容易に手に入る環境なので、”その水”の価値が余り高くないからです。

それでも”美味しい水”ということで、生命とは別の欲求、課題の克服と言うことで、
高い水を飲む人もいますが。
商品の価値を高くするには、
その商品をより必要としている・その商品で課題を解決できる顧客に対して
売り込みをする、と言うことが重要になります。

従って、
「その商品でどんな課題が解決できるか?」
「課題を抱えている顧客がどこに居るか?」
理解・把握することが必要な訳です。