「吸引力の落ちない唯一つの掃除機」
このキャッチコピーは皆さん良くご存知と思います。
ダイソン社の掃除機が日本で発売される時に
使用されました。
また、キャッチコピーとしても秀逸として、
コピーライターの方達の間でもいろいろ話題になっています。
確かに、私も初めて聞いた時、
とても斬新な感覚を覚えたのを記憶しています。
それまで掃除機は、
- 「吸引力の強さ」
- 「静穏性」
- 「軽さ・取り回しやすさ」
- 「クリーンな排気」
- 「節電」
等を売りにして宣伝していました。
- 「軽い操作で…」
- 「楽な操作で…」
- 「世界最軽量!」
- 「パワフル」
- 「かしこく節電」
などですね。
ダイソンのキャッチコピーは何が斬新だったのでしょうか?
◎新しい切り口で他社との違いを強調した
それまで「吸引力が強い」を
売りにした掃除機は多々有りましたが、
「吸引力が”落ちない”」機能
を売りにしたのですね。
それまでの(紙パック式)掃除機は、
ごみを吸い続けるとどうしても最後の方は
吸い込み=吸引力 が落ちていました。
これが使う方にとって結構ストレスになっていたのですね。
(私も時々掃除機を掛けましたが、敢えて言うほどでもないですが、
何となく、何とかならないかな、と思うことは有りました)
ダイソンはその掃除機が取るサイクロン式の特徴である
「吸引力を最後まで維持する」特徴
を上手くキャッチコピーに載せたのですね。
◎唯一無二である事を明確にした
「ただ一つの掃除機」
と銘打つ事で、他の掃除機との
完全な差別化を印象付けました。
◎「吸引力の落ちない」は顧客メリットか?
さて、ここでこのキャッチコピーを、
“顧客価値=顧客メリット」の面から考えてみます。
使用者は、「吸引力の落ちない掃除機」が欲しいのでしょうか?
確かに、段々吸い込みが落ちてくるのはストレスなので、
維持してくれる掃除機はありがたいです。
- 紙パックの交換頻度が減る
- 掃除の途中で交換する手間が減る
ことで、掃除の効率が上がるかもしれません。
もう少し引いて、考えて見ます。
- “そもそも何の為に掃除機が必要なのか?”
- “掃除機を使う目的は何か?”
- と考えてみたらどうでしょうか?
顧客は実は「掃除機が欲しいのではない」のです。
実は、「綺麗な、清潔な部屋が欲しい」のです。
綺麗な部屋を手に入れる「手段」として」掃除機を使っているのです。
そう考えると、「吸引力の落ちない掃除機」を使う顧客のメリットは、
「綺麗な部屋を手に入れるのに、効率が良い」
と言う事になるのではないでしょうか。
どうでしょう。
顧客のメリット=顧客目線で、製品や機能、キャッチコピーなどを
考えてみるとなかなか面白いですよね。