私は、設計開発とマーケティングに従事していました。
対象が計測機器と言う技術面のベースが強い製品と言う事で、
マーケティングといっても「技術マーケティング=テクニカルマーケティング」と言うのが適切でしょう。
なかなか技術系のマーケティングと言う事で体系だった書籍は有りません。
私が外資系メーカーで学んだ”実践的マーケティング手法”と言うのも、
実際には、販売促進=プロモーション の比重が大きいです。
もちろん、開発プロセスマネージメントは管理と言う意味ではしっかりしていたのですが、
技術のロードマップとか技術シーズをどのようにビジネス・事業に結び付けていくか、
と言うところについては、あまり体系だってはいなかったと感じています。
また、“技術経営”に関する書籍などは多いのですが、
マーケティングと言う視点がどうしても弱くなってしまいます。
そんな中でなかなか良い書籍を見つけました。
技術・開発と営業・販売を上手くつなぎたいと思っている私にはとても参考になります。
非常に良い書籍なので、数回に分けてこの書籍について書きたいと思います。
その書籍は以下になります。
●実践図解 MOTマーケティング入門
“MOTマーケティング”とは、
「Management of Technology マーケティング」
すなわち、”技術経営のマーケティング”となります。
著者の出川氏は、
- 「大手メーカーにて、20年以上に渡り、
新規事業を産学連携や日米のベンチャー企業と共同で企画段階から立ち上げた」 - 「MOT(技術経営)やイノベーションのマネジメント手法を用いて多数の大企業や中小企業むけに開発・事業化のコンサルティングや研修、実践マネジメントなどを行っている」
(著者紹介より)
方です。 技術経営に携わった事例は数多いと言うことです。
この本の想定する主要な読者は”エンジニア”です。
「市場や将来の顧客などに関心を持つ技術者・企画者研究開発者」(本書の想定読者より)
です。
また、製造業で「新事業企画を統括する…経営者」も想定読者としています。
更に、技術士や私のような中小企業診断士などの技術経営のコンサルティングに
関連する方にも参考になる、としています。
従って MOTマーケティングを”理系または技術者マーケティング”と呼ぶ事もできます。
この本は、一言で言うと、
- “技術者・開発研究者が製品の企画や開発の過程で必要になるのマーケティングの知識・実践手法”
- “技術シーズをいかに市場要求に合わせた製品・事業として活かすかの技術経営の実践手法”
が書かれていると言えます。 一般的には、
- 技術者は、市場=マーケティングが判らない
- マーケティング担当者は、技術が判らない
事が多いですが、技術者が技術的な製品の為のマーケティングを理解するための指南書、といって良いのでしょう。
技術と市場(販売・営業と言っても良いかも)を結びつける考え方が書かれているのかと思います。
また、技術経営に携わる社長や事業部長、開発部門の責任者にとっても読んでおくべき書籍かと思います。
設計開発とマーケティングを経験した私にとっては、結構目から鱗のところが有りました。
単に理論や考え方だけでなく、実際に使えそうなテンプレート・チャートなども紹介されています。
次回は具体的な中身について書きたいと思います。
(記事内の「」囲みの部分は書籍からの引用部分です)